はじめに:なぜ「第一声」が重要なのか
衆議院選挙がスタートしました。各党党首がどこで、誰に向けて、どんな言葉を放ったのか。岩盤支持層が固まっている現代政治において、選挙結果を左右するのは依然として約3割から4割存在すると言われる「無党派層(浮動票)」です。
今回の公示日の演説をマーケティング視点で分析すると、各党が狙う「顧客ターゲット」が鮮明に見えてきました。
1. 「具体的数値」で自分事化を狙う国民民主党
玉木代表の第一声で最も多く使われたキーワードは、「178万円」「基礎控除」でした。
- ターゲット: 手取りを増やしたい現役世代、物価高に直面する無党派層。
- 戦略: 抽象的な「経済再生」ではなく、給与明細に直結する具体的なベネフィットを提示。SNSで「#手取りを増やす」というハッシュタグと共に拡散されることを前提とした、極めて現代的なキーワード選定です。
2. 「危機管理」ブランドで信頼を売る自民党
高市総裁は、26分にわたる演説の多くを「積極財政」と「危機管理投資」に割きました。
- ターゲット: 変化を恐れるが現状には満足していない保守系無党派層。
- 戦略: 「総理大臣」としての実績と安定感をアピールしつつ、自らの強みである安全保障と経済をリンク。ブランドイメージを「守り」から「攻めの投資」へと変換させようとする意図が読み取れます。
3. 「不満の言語化」で受け皿を狙う中道改革連合・野田代表
野田共同代表は、演説の2割以上を「他党批判」や「政治とカネ」に費やしました。
- ターゲット: 今の政治に「NO」を突きつけたいが、極端な政策には躊躇する中道層。
- 戦略: 「経済あと回し解散」というキャッチコピーを掲げ、有権者が抱く不満を代弁。共感を入り口に、「批判の受け皿」としてのポジションを確立する狙いです。
分析のまとめ:浮動票はどこへ動くのか?
最新の世論調査(JX通信社/選挙ドットコム 1/20付)では、比例投票先として自民党に次いで「中道改革連合」が勢いを見せ、電話調査では国民民主党やれいわ新選組も数字を伸ばしています。
浮動票を動かす鍵は、演説を「点」で終わらせず、SNSを通じて「線」でターゲットのスマホに届けられるかにあります。
- 共感(エモーション): 野田代表や大石代表による現状批判。
- 実利(ベネフィット): 玉木代表による具体的な減税案。
- 信頼(オーソリティ): 高市総裁による国家ビジョン。
有権者がどの要素を最も重視するか。2月8日の投開票日に向けて、デジタル空間での「言葉の浸透率」が勝敗を分けることになるでしょう。





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