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【プロの流儀】カメラマンにとって「命よりデータ」は、笑い話ではなく覚悟の証

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カメラマン仲間の間で、よく交わされる言葉があります。

「俺が倒れたら真っ先に SDカード を救出してくれ」

もちろん、現代の日本における通常の取材で、実際に命の危険にさらされることはまずありません。ですから、これは半分は冗談めかした笑い話として語られます。しかし、その笑顔の裏には、表現者・記録者としての凄まじい「覚悟」が隠されています。

今回は、いかにして「データ」という無形の財産を守り抜くのか、その防衛術と哲学についてお話しします。

なぜ、データは命より重いのか?

カメラ本体やレンズは、お金を払えば同じものが買えます。しかし、その瞬間の光、被写体が不意に見せた表情、二度と繰り返されない歴史的な出来事――。それらは、その場にいたカメラマンのSDカードの中にしか存在しません。

自分の身が助かっても、預かったデータを消失させてしまうことは、プロとしての死と同義。その「代えがきかない」という恐怖こそが、私たちを突き動かす原動力になっています。

プロが実践する「データの生存戦略」

そんな「消失の恐怖」に打ち勝つために、プロの現場では多重の防衛ラインを構築しています。

1. 出口を二つ作る「デュアル記録」

私が愛用している SONY FX2Canon XA75 といった機材には、SDカードスロットが2つ搭載されています。1枚のカードにエラーが起きても、もう1枚に同じデータが残る「同時記録」は、今やプロの最低条件です。中には、万が一の水没に備えて、物理的にタフな耐水記録媒体を選ぶ猛者もいます。

2. 「3-2-1ルール」の徹底

撮影を終えて持ち帰ったあとも戦いは続きます。HDDはいつか必ず壊れる「消耗品」です。

  • 3つのコピーを持ち
  • 2つの異なる媒体(HDDとSSD、またはクラウド)に保存し
  • 1つは別の場所(Google Driveなどのクラウドストレージ)に置く この鉄則を守ることで、物理的な故障や災害からもデータを守ります。

「いつまで残すか」という永遠の課題

ここで直面するのが、保存期間の問題です。 納品が終われば削除したいのが本音ですが、忘れた頃に「あの時の別カットはないか?」と追加依頼が来ることもあります。

私は最低1年という基準を設けていますが、動画データはあまりに巨大です。永久保存は物理的にもコスト的にも不可能です。ROM(光ディスク)に焼いても寿命の問題は付いて回ります。データの「引き際」をどう決めるか、これは全カメラマン共通の悩みかもしれません。

最後の砦、データリカバリーの過酷さ

万が一、HDDが不良セクタなどで読み込めなくなったとき、私たちは「リカバリーソフト」という外科手術に挑みます。

磁気的に損傷したセクタを一つひとつ回避しながら、数日、時には一週間かけてデータを救出する作業は、精神を削り取るほど過酷です。100%復元できる保証がないなかでの孤独な戦いを経験すると、日頃のバックアップがいかに重要かを痛感させられます。

記録者としての誠実さ

カメラマンが「命よりデータ」と笑うとき、それは「自分を信じて撮らせてくれた被写体やクライアントへの責任」を噛みしめているときでもあります。

記録されたデータは、単なる0と1の羅列ではありません。それは、誰かの想いや、未来に語り継ぐべき歴史の一部です。私たちは今日も、その重みをSDカードに詰め込んで、現場に立ち続けています。


【編集後記】 皆さんは、大切な写真や動画をどう守っていますか?そして良いリカバリーソフトはご存じですか?ファイル容量の増大に伴う頭の痛い問題です。クライアントの信用を失わないためにも備えておきたいですね。

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